ネームレス(名前変換無)の夢絵コラボ小説です。
名前変換有りverも、自サイトに置かせて頂いております。(http://twpf.jp/3elody 内にURL記載)
素敵な夢絵は、SA-Uさん(@sautnpr) に描いて頂きました。
@3elody
「なぁ、越前。今日はどっかで食って帰ろうぜー」
「桃、今日はだめよ!私がリョーマを借りる約束してる日なんだから」
桃城の言葉に、気の良い返事を返そうしていたリョーマだったが、
見事に別の人物によって言葉を遮られた。
「リョーマ、まさか忘れてないわよね?」
「・・・覚えてるっスよ」
息をつくリョーマを横目に、桃城は「それなら、仕方ねーなー。越前」なんて、にやついた表情で見る。
「校門の前で待ってるからね」
そう言って手を振って先に足を進める彼女。
茶化してくる桃城を無理矢理振り払い、後を追う様にリョーマも校門へと向かった。
~お家デート~
「・・・」
「・・・」
まん丸い大きな瞳。ふわふわと揺れる尻尾。優しい毛並み。
彼女は、四つん這いになり、同じ目線でじっと一対一で見つめ合う。
恐る恐る手を伸ばし、頭を撫でる。
「ほわら~」
「か、かわいい!」
彼女は、我慢できないといったように手を延ばして抱きしめた。
「あー、もう!カルピンはかわいいねー!」
「人に部屋来るなり、なにやってんの」
「あ。リョーマ!」
自分の部屋に戻ってきたリョーマは、「はい」と彼女に、冷蔵庫から持ってきた缶ジュースを差し出す。
「ありがとう」と受け取り、缶の蓋を開けたあと、くいっと一口飲んで下に置く。
「今日、そんなことしに来たわけじゃないっスよね?先輩」
「勿論!貸してた漫画返してもらうついでに、テニス教えてもらおうと思って来たんだよ」
「じゃあ、さっさと・・・」
「でも、カルピンかわいいんだもの!ちょっとだけだから!」
「あんまり居座られると困るんだけど」
「なんで?」
「なんでって・・・ちょっとは危機感とかないわけ?」
「え?」
リョーマの言葉に首をかしげる彼女に、リョーマは眉間に皺を寄せる。
「・・・ホント、こういうところ腹立つよね」
ぼそりと呟く様にそういうリョーマに彼女は不安そうな瞳でのぞき込んでくる。
「リョーマ?」と尋ねる彼女に、リョーマは何かを決意したようにそんな彼女の方をまっすぐに見つめる。
「先輩・・・俺のことどう思ってる?」
「どうして?どうしてそんなこと聞くの」
震えた声の彼女に対してリョーマは、いつものように生意気で、大胆不敵な笑みでこちらを見る。
「流石にもう分かってるんじゃない?俺がこれから言いたいこと」
力が抜けて、腕に抱いていたカルピンが「ほわらー!」と鳴いて彼女の腕から逃げる。
小さな声で、「まって・・・」といって背後のベッドの淵まで後退りをした彼女。
逃げ場を失った彼女に構わず、リョーマは距離を詰める。
姿勢を落とし手をついて、
彼女の顎を持ち上げ、「先輩・・・」と顔を近づけるリョーマに、思わず頬に熱が籠る。

とっさにグッと目をつぶる彼女だったが、
一向になにも感じずに不思議そうにうっすら目を開けると・・・
「バーカ」
「うえっ?!」
からかうような瞳をしたリョーマに、ぐいっと頬を摘ままれる。
「びっくりした?」という生意気なリョーマに彼女は、頬を赤く染めつつもムッとした表情でリョーマを睨む。
「騙したわね!リョーマ!」
「もとはといえば先輩が悪いんじゃん。人の部屋でくつろいでるから」
「そ、そんなつもりは・・・」
「あと別に、騙したつもりもないんだけど」
「え?」
「俺、本当に先輩のこと好きだから」
「・・・ええええ!!」
リョーマの平然とした告白に思わず彼女は大きく叫ぶ。
「だって・・・そんな!」
「本当に、全然気づかなかったわけ?」
「き、気づくわけ・・・っていうか、どうせ嘘でしょ?」
「嘘じゃない。そもそも好きでもない女の子、部屋にあげるわけないじゃん」
「鈍すぎ」とため息をつくリョーマに、彼女の体温は一気に上昇する。
だって・・・そんな・・・と、信じられないといったように赤く染まった頬を隠すように手で覆う。
意識をしたら一気に自分がこの場に居ることが恥ずかしくなってくる。
「え、えっと・・・私、用事思い出したから・・・」
「逃げるんだ」
「なっ!」
「どうすんの?」と明らかに挑発をしてくるリョーマに、彼女は強く自身の拳を握りしめる。
「逃げないわよ!逃げるわけないじゃない!」
「ふーん」
「・・・あり、がとう」
「え・・・?」
目線をリョーマから逸らして、突如小さくそう言った彼女にリョーマは目を見開く。
「好きって言ってくれて、すごく嬉しかったから・・・。ちょっと吃驚しちゃったけど」
そう言って柔らかくリョーマに微笑む彼女。リョーマは目を細める。
すると彼女は何か言いたげな表情でリョーマをみる。
「あの、えっと、それで・・・ごめんなさい!私、リョーマに嘘ついてました!」
「嘘?」
突然、なにを言いだすのかと言ったようにリョーマは顔を上げて彼女を見る。
彼女は、少しだけ手を震わせながら口を開く。
「ここに漫画を返してもらいに来たのも、テニス教えてって言ったのも・・・全部口実なの。リョーマと一緒に居たかっただけなの!だから、私リョーマに思われるようないい先輩でもないの」
頭を下げて「ごめんなさい!」という彼女にリョーマは、なんだそんなことと言ったように軽く息をついた。
「なんとなく分かってた」
「え?」
「全部気づいてたわけじゃない・・・だから余計に腹が立った。先輩に意識されてないんじゃないかって思ってたから」
「そ、そっか・・・ごめん」
「でも俺も半分気づいてて、先輩の話に乗ったんだから、お互い様」
「リョーマ・・・」
「先輩・・・俺と付き合ってよ」

彼女の顔をのぞき込む様に伺いながら大きな瞳でそう言ったリョーマが、彼女の頬に触れると、
照れくさそうに頬を染めつつも嬉しそうに頷いた。
「私もリョーマが好き」
「サンキュ」
二人の距離が縮まり、優しい温もりが彼女の唇に感じる。
突然の出来事に彼女は驚いたように目を大きく見開く。
そっとリョーマの唇が離れると、彼女は咄嗟に自分の唇に手を触れる。
「っ!リョーマ!」
「なに?」
「なにって・・・それは私の台詞なんだけど・・・」
「いいじゃん、別に。それともなにか問題あった?」
「いや、別にない、けど・・・もう!全部突然すぎ!」
「突然じゃなかったらいいの?」
「そういう話じゃ・・・」
彼女の瞳をまっすぐに見つめて、リョーマは彼女の唇に指を触れる。
「だめ?先輩・・・。俺、先輩のこと、好きなんだけど」といつもより熱のこもったアルト声に、彼女の体も熱くなる。
眉を下げつつ真っ赤な顔をするも彼女が首を横に振ると、再びリョーマとの距離がゼロになった。
「・・・あ、言っとくけどまだ帰さないから」
「え」
「もうすぐ母さんも帰ってくるだろうし、夕飯までいれば?送っていくし」
「で、でも、流石に悪いよ」
「今更いい子ぶっても遅いよ。もうちょっと居たい癖に」
「うっ・・・ごめんなさい。まだ一緒に居たいです」
「ん・・・先輩」
「あ、その呼び方はいや」
そういう彼女にリョーマは可笑しそうに小さく声を出して笑う。
「わかった」といって耳元でささやく様に、彼女に名前を呼ぶ。
リョーマが呼ぶと照れくさそうにしながらも嬉しそうに「リョーマ!」と抱き付く。
「また、来てもいい?口実・・・はないけど」
彼女の言葉に、面白げにリョーマは口角を釣り上げる。
「いいんじゃない?それで」
リョーマの腰に手を回して応えるようにリョーマも彼女を自身の方に引き寄せる。
再び部屋に入ってきたカルピンが小さく「ほあらー」と鳴くも、
彼女はまだそのことに気付かずにリョーマに抱きしめられる。

まっすぐに、まん丸い瞳でこっちをみて、尻尾を左右に振るカルピンに気付いたリョーマは、
「しーっ」と人差し指を立てて、カルピンに向かって微笑んだ。